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本の街の活気

2013年04月17日

村上春樹の新刊が発売された。
AIがオフィスを置く神田神保町は本の街。これほどの超人気作家が新刊を出すと、街全体が活気づく。
円安株高で盛り上がるのもいいが、文芸書の新刊で盛り上がるのもいい。

読書は嫌いではないが、これといった読書傾向はないんです。
「食欲の科学」を読むかと思えば、「IGPI流 経営分析のリアル・ノウハウ」も読む。
「動物に魂はあるのか」も読んだ。
たいていの本に言えることは、読んでいる時は理解しているつもりなのに、
しばらく時間がたつと内容の多くを忘れてしまっていること。

それでも、折々に記憶に残る本もある。
小学生のころ、移動図書館で「雲の墓標」という本を借りた。
勇ましい戦記物かなんかだと思っていたら、学徒兵を描いた小説だった。
主人公は「雲こそわが墓標……」という遺書を残し、特攻隊員として死ぬ。

とても、意外なモノを読んだ気がした。
主人公が、死ぬ。戦闘場面は、あまりない。
主人公の学徒兵の思いが、いろいろ書かれていた。
自分にまったく関係がないわけでもなかった。
私の叔父は特攻で死に、私の父は訓練は受けたが、死ぬ前に戦争が終わった。
ただ、2人とも予科練出身の航空兵。
予科練は学徒兵のように、上手に遺書は書けないだろう。

村上春樹の翻訳でベトナム戦争に関係するものがある。
ティム・オブライエン「本当の戦争の話をしよう」。
若い兵士の日常を、しかし死がすぐそばにある日常を、乾いたタッチで描き、
それを村上春樹の訳がうまく日本語で伝えていると思った。

電子書籍で読むと、受け取り方は変わるのだろうか?
「本当の…」は、それほど変わらない気がする。
「雲の墓標」は、まだちょっと違和感があるかもしれない。
個人的な見解です。
(敬称略)

※移動図書館=私が子どものころ、市立図書館の本の一部を載せたクルマが定期的に巡回していた。
「ロバのパン」と同じようなノリで、子どもたちが集まり、結構借りていた。


「村上春樹堂」となった三省堂書店

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