一目瞭然
2014年04月17日
野球の季節だ。
私は試合前のシートノックを見るのが大好きだ。
シートノックを見ると、なんとなくそのチームの力がわかる。
この野手は肩が弱いとか、二遊間の連携ができてないとか、全体の動きにリズム感がないとか……。
試合中、目をつけた野手が1回もまともにボールをさばけないなんてケースがある(もちろんアマチュア)。
「やっぱりね。予想通り」。
自分の慧眼(けいがん)を再認識する。嫌な性格である。
子どものころ、なぜかキャッチャーをすることが多かった。
キャッチャー。マスクで顔隠してるし、なんとなく暗いイメージで気が重かった。
その上、ピッチャーの胸の位置に返球しろだの(ピッチャーを疲れさせたりリズムを乱しちゃいけない)、ボールがバットに当たった瞬間にマスクを取れだの……ともかく、こまごまと教えられる。いや、怒られる。
投球を後ろに逸らしたりしたら、そりゃもう大変な事態である。
ところが長くやっていると、あら不思議。
荒れ球を体を張って止めたり、マスクを素早く外したり、ほかの野手に細かく指示を出したりすることが楽しくなってくる。
すごく地味なのに……。
もともとキャッチャーを好む性格だったのか?
キャッチャーは血液型A型が多いなどと言われるが、私はA型ではない。
野球のことを書いたのは、ZDNetで「マネーボール」の著者マイケル・ルイスが取り上げられていたから。
「マネーボール」は、常識を覆すデータ重視主義で資金の乏しいメジャー球団が、コストパフォーマンスのよいチーム作りをする物語。
確かにエキサイティングなのだが、エキサイティングなのはチーム編成。この球団アスレチックスの野球自体はそんなにエキサイティングじゃない。
例えば、盗塁は無意味とみなされたりする。スピード感なし。
そのルイスが最新刊で、今度はウォール街を舞台に超高速の高頻度取引(HFT)による「不公正」を描いたという。それで、ウォール街は大騒ぎ!
世の中のウォール街に対する不信感も後押ししているのだろう。
HFTは人知を超える高速取引で、結局何が行われているのか見えにくいところに問題がある。
そこいくと野球はオープンだ。
シートノックでキャッチャーフライ(なかなか難しい)をあげられないノッカーは笑われる。
そしてキャッチャーは、横で突っ立ってるしかない。一目瞭然。